2021年(令和3年)8月31日
                 一般社団法人日本母乳の会代表理事 吉野和男

 1990年8月1日にWHOとユニセフは母乳育児の保護・促進・支援の必要性を「イノチェンティ宣言」として発表した日を記念して、毎年8月1日を「世界母乳の日」としました。また、8月1日から7日は「世界母乳育児週間」と定められ、世界で母乳育児を奨励するさまざまな催しが行われています。日本では日本母乳の会の元を築かれた山内逸郎先生が1992年8月1日-2日に「母乳をすすめるための産科医と小児科医との集い」を大阪で開催されました。これが、毎年日本母乳の会が開催している「母乳育児シンポジウム」の第1回目でした。その後、毎年この時期に「母乳育児シンポジウム」を開催しています。2020年は29回目を山形で開催する予定で準備してきましたが、新型コロナウイルス感染の拡大により開催を断念し、延期とすることにしました。そして、今年、東京オリンピック・パラリンピックが7月下旬から8月にかけて開催された関係で、8月29日に「第29回母乳育児シンポジウム」をWEBで開催し、670名余りの参加があり大盛況でした。 
 新型コロナウイルス感染は拡大が懸念される状況になっています。一般的にウイルスは増殖・流行を繰り返す中で少しずつ変異していくものであり、新たな変異株が世界各地で確認されています。新型コロナウイルス感染のリスクを軽く考えることは危険ですが、ワクチンを含め、母子にかかわる感染の拡大や重症化を回避することが重要です。
 日本母乳の会では「新型コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえた母乳育児支援」について 、第21回母乳育児支援研修会WEBセミナーを、2021年2月6日、3月13日、6月5日に開催しました。そして、第29回母乳育児シンポジウムでは特別企画として「コロナ禍での母乳育児」-新型コロナウイルス感染症の拡大の中での母乳育児支援の実際と今後の支援への提言-を開催しました。また、第36回母乳育児ワークショップ・WEB開催を「コロナ流行下だからこそ母乳育児について語ろう」として2021年10月
3日に予定しています。
 8月1日の「世界母乳の日」にあたり、世界的な感染症が拡大する時期だからこそ、改めて母乳育児の原点にたち返り、母乳育児支援を勧めていきたいと思います。







 



*