Q:水道水が放射性物質に汚染されたと報道されていますが、母乳育児を続けることは可能でしょうか。
A:はじめに、お伝えしなくてはいけないことは、日本国政府をはじめ、各行政機関が、福島原発で生じた各種の汚染を真摯に 公開していることです。ほとんどリアルタイムに私たち国民に情報が伝わっています。 そのため、私たちはその情報をもとにどうすればよいかの判断がある程度的確に行えます。 それを配慮した上で母乳育児継続の可否について判断をお示しします。
平成23 年3 月23 日(水曜日)東京都の金町浄水場の水道水に1kg(1.0 リットルあるいは1000 ミリリットルに同じ)当たり 210 ベクレルの放射性物質が含まれていると発表され、その後関東地方の各地の水道水から地域によってある範囲の中 で異なるものの通常では証明されない量の放射性物質による汚染が報道されています。
また、産科婦人科学会から早速妊産婦、胎児、乳児に対して、直ちに健康障害を来すものではないという見解が発表され ています。 それによると、現在報道されている1kg 当たり200 ベクレル前後の放射性物質を含む水道水(軽度汚染水道水と表現 します)を長期にわたってお母さんが飲んだ場合の健康被害がおきるかどうかの算定式が示されました。 軽度汚染水道水を毎日1.0 リットル(1,000 ミリリットル)飲むと仮定した場合、おおよその被曝量は 以下のように算出されます。
総被曝量(マイクロシーベルト)=(摂取ベクレル総量)×2.2÷100 例えば、500 ベクレル/kg の水を1 日1.0 リットルずつ365 日飲むと 500×365×2.2÷100=4,015 マイクロシーベルト(約4.0 ミリシーベルト)となります。
母乳中に分泌される(出てくる)放射能活性を持ったヨウ素は抗癌治療に用いられた知見から、 母体に直接投与された量の4分の1 程度とされ、母体により希釈されることになります。 また、ダイオキシンなどの脂溶性物質と違い、母体内に蓄積されていくことはありません。
さらに、チェルノブイリ原発事故後に小児の甲状腺がんの多発を長年にわたって調査し続けた 長崎大学医学部教授 山下俊一氏によれば、現在報告されている量の母親への被曝で、 食物連鎖による母乳への放射性ヨードが蓄積し、それが幼児の甲状腺がんを引き起こす可能性は限りなく0に近いことを コメントされています。 また、半減期の長い放射性セシウムによる健康被害はチェルノブイリ原発事故後もなかったことをコメントされています。
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